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片隅抄

2016.08.29

「三方よし」という言葉をご存じの読者も多かろう。江戸時代に生まれた近江商人の理念で「売り手よし・買い手よし・世間よし」を指す▼意味は「商いは、売り手だけでなく、買い手はもちろん、社会にとってもよいものであるべき」で、現代の経営哲学にも通じる。自分も相手も勝者たる「Win・Win」より、さらに深みがあるとも▼この言葉を教えてくれたのは、市内の商店経営者。空洞化が懸念されるまちの中心地に店を構え、地元住民と共存できる商店街をつくろうと、イベントの開催や地域活動への参加などに長年尽力してきたという話の中で出てきた言葉だ▼今、市民の約28%が65歳以上、また平均世帯人員は2・48人の時代。この少子高齢化の中、1人暮らしの高齢者が増えているだろうことは想像に難くない。そんな人々が安心して買い物ができる地元商店街の活性化が、21世紀の今こそ「三方よし」の理念とともに、より重要度を増していると感じる。

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