今思うと不衛生だが、上水道が整っていない当時、台風に見舞われると雨であふれた側溝、いわゆる「どぶ」の水に平気で浸かったりした。靴から足にしみる変な感触を面白半分に楽しんだ▼「二百十日」のたとえのごとく、先月22から23日に台風9号、さらに30日には10号が本市に最接近した。特に先日の10号は観測史上類を見ない迷走経路、さらに強い風雨を伴うものと注意を呼びかけたものの、午後にはいわき沖を過ぎて行った▼不謹慎だが少々拍子抜けした感もある。だが本当の被害はそれからである。強い勢力の迷走台風は岩手、青森県を襲い、豪雨をもたらした。結果、岩手県岩泉町の高齢者施設では入所者とみられるお年寄りらが命を落としている▼ゆゆしきは町内全域に出された避難準備情報が生かされなかったこと。どういう判断で河川が氾濫するまで居残ったのか。本市の発信する災害警戒のエリアメールも真剣に考えれば命綱になることもある。