雨が降っている時に「今日は雨模様だね」「そうだね」という会話を耳にすることがある。話している当人同士に頓着はないようだが、はたで聞いていて「あれっ?」と思う▼元来「雨模様」は、「雨になりそうな時」に使う。それは「もよう」という語が、今にもそうなりそうな状態を指す和語の「催(もよ)い」から来ていることに起因する。しかし今は、すでに雨が降っている状況を説明する際にも、使われることが多いと感じる▼単なる誤用なのでは、と思っていたが、NHKなどでもそのような使い方を認めているようだ。また文化庁の国語に関する世論調査(平成22年度)によると、「雨模様」を「雨が降りそうな様子」より「雨が降ったりやんだりしている様子」と答えた人の方が多く、現役世代の40代では6割が後者だった▼「言葉は生きている」を実感するのは、こんな時だ。古来培われてきた伝統も、時代によりより変化する。文化は人の営みとともにある。