福島原発事故から5年7カ月たった今も、福島の食に対する風評被害は根強いものがある▼そんな中、16日の日曜日、久之浜漁港を会場にして、6年ぶりに「復興久之浜漁港まつり」が開かれた。市内の復興を少しでも後押ししようと、町を挙げて行われるイベント。魚にかぎらず野菜や果物など、地場産品が市価よりも安い値段で販売されるとあって、会場は大にぎわい▼漁船に乗って沖に出る乗船体験や復興鍋市場、地元名物チャンチャン焼きが無料で振る舞われるとあって、開場と同時に会場は大盛況。久之浜中学校吹奏楽部の演奏も行われ、まつりに花を添えた▼これまでの経緯を見ても分かるとおり、国会の中でいくら震災復興と叫んでも、ハード面は別にして心の復興はそんな簡単には進まない。今回集まった市民の人たちの顔を見て、地元の人たちの手で行われるこういった地道なイベントこそが、心の復興につながっていくことを、あらためて感じた。
片隅抄