10月31日の前後、全国各地で「ハロウィーン」にちなんだイベントが開かれた。クリスマス、バレンタインなどに続く外来の祭りに今年も盛り上がった▼市内でも各地の園児らが街中を仮装スタイルで行進した。もっとも夜、繁華街を歩いている時に変装した若者の姿に出くわし少々びっくりもした。何が楽しいかよく理解できないが、この行事には忌まわしい記憶がある▼92年10月、アメリカ・ルイジアナ州で惨劇が起きた。当時、留学中の日本人男子高校生が仮装姿で民家を訪問。男の家主に不審者と思われ、銃で撃たれ死亡したもので、当時、大きな問題になった。その際、男が発した言葉が「フリーズ」▼動くな、という意味らしいが「ストップ」とはまた違うのかと思った。すでに20年以上も過ぎたが、お祭り騒ぎを伝えるテレビは多いものの、事件を回顧するものは見ていない。「ハロウィーン」と聞くたび、異国で息子を失った親御さんの心情を思ってしまう。
片隅抄