「弾劾」なる聞きなれない言葉を耳にしたのは、中学生の頃だった。世間を騒がせたロッキード事件にからみ、時の判事補が検事総長の声色を使い、首相に謀略電話をかけたという事件が発生。しきりにこの言葉が使われた▼法律を厳守する法曹関係者がいわゆる「弾劾裁判」にかけられるなど、どうにも奇妙なことだと思っていた。またぞろ、この言葉が連日、日本で報道されている。隣国の大統領に浮上した数々のスキャンダルが騒々しい▼他国の内政干渉には勇ましいが、ご自分の身の潔白には防戦一方とは情けない。原因は「君側の奸」らしいがこの国の場合、トップが任期終了後に逮捕されるケースが多い。先のロッキード事件では、田中角栄元首相が逮捕されたが今もって真相は不明である▼時は流れ、再評価する声が高い。石原慎太郎著『天才』も今年のベストセラーだという。批判を浴びながらも正々堂々とカメラのフラッシュを浴びた姿が忘れられない。