古い言葉にある「政治は最高の道徳」。かつて日本の首相経験者が使っていたことを思い出す。聞いた当時、政権党のスキャンダルが世間を騒がせ、まともに受け取ったことはない▼またぞろ、おかしなフレーズが国会議員らから出始めている。「一線は越えてない」「男女の関係はない」。一体、どこの世界の話だろう。臆面もなく、テレビで答える姿にはあきれ返る。何もないけど何かある。選挙権を持つようになった18歳にも分かることだ▼論戦の場でここぞとばかりに相手を攻撃する。それもよいが、いざ自身のスキャンダルには甘さが目立つ。殊勝にお詫びの言葉を述べたが、記者質問もなく、去って行った。離党を唯一のけじめのつけ方にしたようだ▼10日投開票の市長選が終盤を迎えている。先行、追い上げ、支持、協力など、さまざまな情報が乱れ飛ぶ。激戦を勝ち抜き、理想とする「最高の道徳」を実践してくれる候補者は誰か。その日は刻々と近づく。
片隅抄