総合図書館の新刊図書コーナーで「『母親に、死んで欲しい 介護殺人・当事者たちの告白』」という、NHK総合で昨年7月に放送された番組をベースに書き下ろした本を借りて読んだ▼超高齢化社会、少子高齢化といった世代間のひずみが生んだ深刻な問題の一つに、自分ひとりでは生活できなくなった家族をだれが介護するのか、という現実がある▼年老いて体が不自由になったり認知症になった親や夫・妻ら要介護者を、誰もが右から左へモノを運ぶように施設へ預けられるわけではない。そこで老老介護、介護離職、多重介護など、介護する家族に大きな負担がのしかかってくる。揚げ句に介護・看病疲れから要介護者を殺してしまうというケースが出てくる▼施設に預ける費用の負担ができないという経済的な問題もあれば、近所の人や福祉の担当者など第三者の介入を拒む人もいる。介護する側、される側。だれでも当事者になりうる他人事ではない内容だった。