先日、東京で5歳の女児が両親の虐待を受け、死亡する事件があった▼十分な食事も与えられず、外出も制限され、電気のない部屋で軟禁状態。「もうおねがい ゆるしてください」。女児が両親に向けてつづった、謝罪の言葉に胸が痛んだ。親の愛情を受けて育つ子どももいれば、この女児のような子どももいる。子どもにとって親は選べないというが、あまりにも理不尽すぎないか▼この手の事件が起きるたびに問題視されるのが、児童相談所のあり方。本人への面会での実態確認が基本とされるが、虐待は家庭内で行われるため実態が見えづらい。その上、しつけや親権を主張されると、現行の制度上では対応にも限界があるという。しかし、事件が起きてからでは遅い。行政上の手続きが弊害となって、尊い命が失われるのなら、制度を変えればいい▼児童相談所はもとより関係機関が連携を密にし、ある程度の強制権を持って動かない限り、虐待は無くならない。
片隅抄