山間部で育った身には、夏といえば海というより川が身近な存在だった▼上流域は水もきれいで、中でも硬い岩に囲まれた淵のようなところは深いので飛び込んだりしたものだ。ゴーグルをつけ、手製のヤスで魚を刺したりもした。川は格好の遊び場だった▼今、たいていの川には「危ないから近寄ってはいけません」と書かれた看板があったり、行きたくても深い雑草に覆われていて近づけない。本当は川に行けばいろんな生き物がいて、さまざまな植物が生育している。遊びながら「これ以上は危険」ということを自然と察知する。そして川の水に実際にふれて、きれいなのか汚いのかで、自分たちのまちは大丈夫なのかということにも気づく▼遊びながら、川から学ぶことは多いと思うのだが、どうだろう。梅雨に入って川の土手の雑草が密集している。日曜日、地区の住民が集まって大掛かりな草刈り作業をする。今、川に近づくのはこんなときで、何と皮肉なことか。