「危険な暑さ」と表現された記録的な猛暑は、人々の生活だけでなくさまざまなところに影響を及ぼしている。最近話題になった夏時間の導入もその一つと言える▼2年後の東京五輪。開催時期が真夏ということで、森組織委員長が安倍首相に導入を要請したというが、実現に向けては課題が多い▼昼間の時間を有効利用できる。省エネ効果が期待できるなどメリットを強調しているが、専門家によれば、国全体のコンピューターなどのシステム障害を起こしかねないし、何よりも睡眠障害を引き起こすというのだ。日の出が早い夏は、冬に比べ睡眠時間が短くなるという。そこに2時間早めると、より睡眠時間が短くなることになるという▼健康問題からヨーロッパでも廃止する国が増えているのに、時代に逆行していると言わざるを得ない。そもそも、秋に開催できなかったのかという疑問が残る。こんなところにも日本の発言力、存在感の無さが露呈していると言える。
片隅抄