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片隅抄

2019.01.11

ひところよりも外で飲む機会が減っている。20~30歳代は週の半分は誘い、誘われながら夜の繁華街を巡ったものだ。翌朝、二日酔いに苦しむも、性懲りもなくまた繰り出した▼時にカウンターに座ると目の前にマスター、ママさんがいる。客商売ながら酒を全く飲まない人もいた。体質上もあるが、店を続けるためなど健康上の理由と聞いた。確かに客よりも飲み、最後はぐだぐだでソファに横たわる人もいた▼さて草野心平がかつて東京で経営した居酒屋「火の車」。その様子は、心平と同じ小川町出身で一緒に働いた橋本千代吉さんの『火の車板前帖』に詳しい。こちらは自身が底なしの酒飲みで、客とも大喧嘩する恐ろしい経営者▼同書には英文学者吉田健一が「草野さん、いますか」と顔を出したとある。この酒豪同士が飲みだしたらどうなったことやら。あすから心平記念文学館で「火の車」企画展が始まる。見たあとうまい酒が飲めるかもしれない。

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