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片隅抄

2019.10.07

またひとり、昭和の野球人が旅立った。400勝投手の金田正一さん。最後まで歯に衣着せぬ、ユーモアと自信たっぷりのコメントが印象的だった▼破天荒な言動で良くも悪くもエピソードは多い。〝天皇〟と呼ばれた国鉄時代、監督を差し置いて勝手にリリーフのマウンドに上がり、そのため交代させられ、あと1死でプロ生活唯一の勝利を挙げ損ねた悲運の投手もいたほどだ。逆に、本人はまだ引退を考えなかったのに辞めざるを得ない状況に追い込まれたのが、巨人での400勝目だった▼ローテーションも先発・中継ぎ・救援の役割分担もない時代。1人の投手の肩にチームの浮沈がのしかかっていたのが昭和の野球だった▼ただ彼らが短命で終わったのに対し、金田投手のちょうど20年で944試合に登板し、投球回数5526回2/3(現役最多は2794回2/3)は称賛に値する。タフな体のケアの仕方は、令和のプロ野球でも参考に値する部分はあるだろう。

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