ひところ「目白詣で」という言葉がよく聞かれた。東京・文京区のその地に居を構えた主は、故田中角栄元首相。広大な敷地にいくつもの建物が立ち、各界の実力者らが訪れた▼生前は「闇将軍」「キングメーカー」とも称され、政界に強い影響力を持った。金脈退陣、ロッキード事件、病気入院、竹下登自民党幹事長門前払いなど、スキャンダラスな場面ごとに屋敷前が電波、紙媒体に映し出された▼その屋敷と地元旧新潟3区の有権者を結ぶバスツアーも盛んに行われ、地元民らが頻繁に訪れたという。こちらも20数年前、あるルートで訪れたことがある。通された講堂には当時、新人議員だった真紀子さんがわあわあやっていた▼今、問題視されている安倍首相主催「桜を見る会」。地元後援会が大挙して招待されたなど、費用の支出元、選定基準に疑いありと野党の追求は続く。このスタイル、あまりに日本的である。公的行事に使うのは、勇足だった。