総合図書館発行の「映画に刻まれた『いわき』」によると、昭和43年8月公開の「盛り場ブルース」がある。森進一さんの同名曲をシリーズ化したもので、ロケ地は旧平駅、および構内だ▼主演は先日亡くなった梅宮辰夫さん。DVDになっておらず、CS放送の映画専門チャンネルで見た。男女の愛憎がからむ、お決まりのストーリーだが映画名通り、まさにネオン街の雰囲気が伝わる昭和ノスタルジーの作品▼同年6月6日付の本紙に撮影を伝える記事がある。「平駅ロケにどっとファン」「梅宮、野川が〝駅の別れ〟」との見出しで様子を伝えている。相方の女性は野川由美子さんで、こちらも本市ロケを行った平成5年の映画「人間交差点・不良」に出演した▼映像では全く気配が感じられなかったが、記事写真には大勢の市民が写り込んでいる。当時から映画業界は斜陽気味にあったが、銀幕スターの魅力は今とは違う。名優の逝去から当地ロケを思い出した。
片隅抄