国内外に見えざる敵が蔓延(まんえん)してからだが、「新型コロナウイルス感染拡大に伴い…」とこの文章を何度打ち込んだことか。当初はやや楽観気味だったものの、日を追って感染者が増える状況になすすべもない▼いわき市内でも予定されていた行事、集会、講習会など人が集まる催しが次々と中止、延期を余儀なくされ、その報が伝えられるたび、紙面掲載している。逆に取材対象が無くなるわけであり、結果はいうまでもない▼先月末、千葉県市川市内のスポーツクラブで濃厚接触者による利用例があった。同地に住む知人がいることから、安否を問うメールを送信した。数日おいてから、その知人から電話がかかってきた▼いわく「当事者と偶然、同じ日にそこを利用した」 「2週間は外出できず、今日やっと陰性が確認された」というものだった。対岸の火事と軽く思っていたが、身近な人の現実に接し「まさか」 「よもや」の考えは、通じなくなってしまった。
片隅抄