いかりや長介さんが72歳で亡くなって16年になる▼ザ・ドリフターズのリーダーから俳優に転身。「踊る大捜査線」では若い刑事を優しく見守るノンキャリアの老刑事、大河ドラマ「独眼竜政宗」では政宗に仕えた猛将・鬼庭左月斎を演じるなど、渋い名わき役として欠かせない存在だった▼新型コロナウイルスに感染して亡くなった志村けんさんが、1日の連続テレビ小説「エール」で初登場した。演じる役は作曲家山田耕筰がモデル。初回は顔見せ程度で、来週から本格的に主人公と関わるが、お笑い界の大御所が、1人の俳優として平成11年公開の映画「鉄道員」以来の本格的な演技をどう見せるか、楽しみだ▼「もし生きていれば、いかりやさんのような役者に…」と惜しまれるような感動を視聴者に与えることになるかどうか。虎は死して皮を残すと言うが、俳優もまた、死してなお多くの人に感動を残す。新型コロナで沈んだ世の中に明るい話題を提供してほしい。