首都圏では現在も猛威を振るう新型コロナだが、遠くいわきでは繁華街が自粛の縛りから解かれ、賑わいを取り戻しつつある。QRコードを活用し、飲食店などの利用者に感染確認情報を電子メールで通知する市独自の「あんしんコロナお知らせシステム」導入店を知らせる、のぼり旗も見かけるようになった▼今流行の「リモート飲み会」は性に合わず、誘いはすべて断った。どうしても友人と並んで、暖簾(のれん)をくぐる。迷わず、「とりあえずビール」。残暑が厳しい中、一杯目が喉にしみる▼きょう24日は「愛酒の日」。戦前の歌人・若山牧水の誕生日にちなんで制定された。一日一升程の酒を飲み、43歳で没した。死因は肝硬変。「生きたままアルコール漬けになったのでは」という逸話もあるほど▼終焉の地となった沼津では富士の歌も多く残る。生前、愛した富士山はコロナ禍で閉山だと聞く。旅を、酒を愛した牧水がこの時代を生きていたら、何を歌うのか。
片隅抄