幼馴染みの同級生が最近、登山を始めたと聞いた。還暦を再来年に控え、まさしく、「六十の手習い」と言ったところだ▼健康管理の一環で始めたということだが、すぐに登山の魅力に取り憑かれた。入門編として市内の山から始め、今では安達太良山、磐梯山まで登ったということだ。山頂での食事と下山しての温泉が楽しみだと話し、いずれは飯豊連峰を縦走したいと語っていた▼最近は、テレビでも山歩き関係の番組は多くなった。下界を見下ろす景色はもとより、夜の満点の星空は見事だ。高校時代は山岳部に所属し、それらを見ていたはずだが星空の記憶はない。暗くなる頃には熟睡していたためだが、見る余裕もなかったのだろう▼友人の話を聞いて、また登ってみたいと思うようになった。稜線に出るまでの長い急勾配を乗り越えられるかが心配だが、以前見られなかった満天の星空への乾杯を目指して、まずは、バテない体力をつけることから始めよう。
片隅抄