東日本大震災発生から間もない11年3月30日付の当欄で、「今われわれは歴史年表に刻まれる大災害の中にいる」と書いた▼当時の菅(かん)総理大臣はといえば、地震と津波からの復旧や福島第一原発事故の対策に右往左往していた。この緊急事態に国のトップとしてリーダーシップをとれなかったことから、その年の9月に退陣している▼今度は過去幾度となく繰り返された感染症の世界的大流行のただ中にいる。新型コロナウイルスの感染拡大も新しい歴史年表に特記されるだろう。こちらの菅(すが)総理大臣も、感染者数を抑えながら経済の停滞を避けるという難題に苦悩の日々を送っている。なかなか強い指導力を発揮できず、国民からの信頼は失望に変わって感染者数ならぬ内閣支持率が低下している▼放射能汚染への偏見は今も続く。今度はいつ自分が感染するかだ。陽性なのに発症せず日常生活を送っている人もいるのでは。来年はどうなる。そんな疑念と不安がつきまとう。