国は有機農業の面積を2050年までに、国内農地の25%、今の40倍以上となる100万ヘクタールに拡大する目標を設ける方針という▼50年までに脱炭素化社会を目指す、政府方針が背景にある。化石燃料に頼る電力事情をどう変革していくかが目下の課題だが、化学肥料などに含まれる窒素が温室効果ガスの原因になるとの指摘も。化学肥料と一緒に農薬も削減することで、環境負荷の少ない持続的な農林水産業の実現を狙う▼抄子は震災後、泉の農業者グループに入り有機稲作に挑んでいる。とっかかりは、子どもが普段から口にするお菓子に入った食品添加物の多さ。自らも含めアレルギー体質のわが子の体質を改善させるためには、食生活を変える必要性があるだろう、と▼昨季からは細君の協力を得、自作の畑でも化学肥料をやめた。目指すは「奇跡のリンゴ」、木村秋則さんの自然栽培。健康からのアプローチだが、結果、脱炭素化が進むことに喜びも重なる。
片隅抄