Jヴィレッジをスタートする東京五輪の聖火リレーまで10日を切った。いわき陸上競技場を出発するのは午後0時9分。いまは始まるのを待つばかりだが、周りを見渡すと機運が高まっているようにはどうも見えない▼原因はみな分かっている。コロナ禍で社会不安が広がる中での開催に、納得がいかないからだ。森喜朗前競技大会組織委員会会長の〝ごたごた〟が足を引っ張った。インバウンドの経済効果を期待した海外からの一般観客の受け入れも困難で、ほかにもマイナス要因ばかりが目立つ▼3・11から10年。さまざまな報道機関が伝えたが、複合災害に見舞われた本県、特に浜通りの復興への道のりはいまだ見通せない。抄子も繰り返し主張しているが「復興五輪」との名称には違和感しかない▼聖火リレーまでには決断が下されるだろうか。見切り発車だけはやめてほしい。ただ、命を懸け五輪を目指してきた〝旬の〟アスリートを思うと、心苦しさだけが残る。
片隅抄