今度の日曜日は東日本大震災の月命日だ。先月11日は大震災発生から10年。節目として震災関連ニュースが大きく報じられていた▼しかし、1カ月経った今、大震災報道は少なくなり、替わってマスコミや国民の関心は、新型コロナウイルス対策と今年7月開催の東京五輪へと移りつつある。五輪はスポーツの祭典であり、コロナとの戦いは世界中で続けられていることを考えれば、それも致し方ないことか▼東京五輪は当初、大震災からの復興五輪とされていたが、いつのまにか人類がコロナに打ち勝った、証の大会にすり替わってしまった。10年が過ぎ復旧、復興は進んだが、原発事故一つ取って見てもゴールは遠く、被災者の心の傷は今だ癒されてはいない▼国内では大震災後も、地震や台風と未曾有の大災害が相次ぐ。震災報道を通して、災害への警鐘を鳴らし、同時に大震災の記憶の風化も防ぎたい。3・11を3月だけの震災報道月にしてはならない。