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片隅抄

2021.04.20

前々回、前回の大河を見て心躍った市民も少なくないのではないか。若年寄として登場、井伊直弼大老亡き後の幕政を担い、公武合体を推進した磐城平藩第5代藩主安藤信正侯。SNSでは信正侯の名が飛び交い、中には〝我が殿〟〝うぢの殿〟と冠した投稿も▼いち市民として、失脚につながる情景が描かれることに少し抵抗はあったが、短時間ながらも坂下門外の変が大河のワンシーンに取り上げられたことに喜びを感じた▼どうしても安政の大獄、桜田門外の変に隠れがちだが、大老暗殺による混乱を抑えて弾圧を受けた慶喜の謹慎を解き、和宮降嫁をはじめ長州藩士の政治・外交思想を承認するなど穏健政策を進め、貿易統制に尽力。政局の安定に努め、外国公使から賛称されたことはあまり知られていない▼磐城平藩本丸跡地が歴史研究家の注目を集める中での大河登場は、大変意義深い。同じく脚光を集める藤田東湖のように、評価が高まることを願うばかりだ。

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