昭和39年10月のオリンピック東京大会が映像で回顧される際、同月開通した東海道新幹線の走行シーンが流れる時がある。この2大行事の日数間隔はわずか10日あまり。敗戦から約20年、これら偉業を成し遂げた先人の熱意に感服する▼新型コロナウイルス感染症拡大、変異株など極めて不安定要素が消える気配がないまま、東京五輪・パラリンピックが開催されようとしている。後年、この五輪を振り返る時には、世界を襲ったコロナ被害の模様が併用されるのだろうか▼競技という大会本来の純粋な面は理解する。反面、莫大な金額が動く利権を知ると一体誰のための、何のための五輪かと思ってしまう。さて、いわき市内では今年も夏のイベントが予定されていたが、続々と中止の報が伝わってくる▼市民の安全第一を最優先にした主催者、実行委員会の判断である。為政者らが甘い言葉で五輪開催の意義を述べても納得できない。はしゃいだあとの反動が怖い。
片隅抄