大雨による静岡県熱海市で土石流災害が発生した伊豆山地区では厳しい暑さの中、現在も警察や消防などが安否不明者の捜索にあたっている。同市は土砂災害への警戒を緩めず、避難情報のうち最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」を継続。土石が流れ下り、家屋などがなぎ倒されるニュース映像を見て、10年前の東日本大震災を思い出した▼平成23年3月11日午後2時46分。四倉海岸沿いで津波の写真を撮影しようと国道沿いでカメラを構えていた。民家の軒を抜け、濁流となった津波が目の前まで押し寄せた▼幸いにも命を落とすことはなかったが、あの日の恐怖を思い出し、ゾッとした。土石流は発生現場付近で崩落した盛り土の造成が要因とみられ、原因究明を急いでいる▼震災から10年がたった今も、福島県民は原発事故の風評に苦しむ。快適な暮らしを得ようと、昭和、平成と自然破壊を続けてきた先人のつけを令和に払わされているように思える。
片隅抄