「政界一寸先は闇」。政変が起こるたび、かつて自民党副総裁を務めた川島正次郎の言葉を思い出す。きょう昼前、菅首相の党総裁選立候補の不出馬が伝わった。結果的には他の人が新総裁イコール新首相となり、衆院選に臨む▼政権を目指すより、ナンバー2の地位にとどまり権力を維持した川島。逆に野望をぎらつかせたのが福田赳夫、大平正芳の両首相経験者。1期2年の「密約」を反故にした福田に対し、総裁予備選で逆転劇を演じ念願の座に就いた▼あらぬ権力闘争にエネルギーを浪費せず、コロナ対策に専念する、との菅首相の言葉には説得力が感じられない。官房長官時代はそれなりの存在感を示したが、行政府の長は荷が重かったのか▼さて現職、新人の4人が立候補した市長選はあすが最終日。各陣営ともコロナ禍の中、集会、個人演説会など従来の活動が行えず、PR度もいま一つの感がある。だが一寸先、投票箱が閉まるまではわからない。
片隅抄