ハロウィーンでにぎわう夜、東京の京王線の車内で凄惨な事件が起きた。無差別に乗客を刃物で切りつけ、車内に火を放つというまれにみる凶悪事件だ▼火が放たれた車内を逃げ惑う乗客、そして何事もなかったように悠然と煙草をくゆらす犯人の姿は視聴者の投稿映像としてテレビで流され、その凄惨な状況に震えが止まらない思いをしたことだろう▼そして、恐れていたことが起きてしまった。京王線事件の真似をしたと思われる事件が起きてしまったのだ。いわゆる模倣犯だが、事実を知らせるための報道が新たな犯罪を生んでしまうという悪循環に報道に携わる者として心が痛む▼報道に責任はないのはわかるが何か手立てがないものかと、模倣犯が出るたびに思ってしまう。映像はそれそのものがニュースであり真実だ。もちろんそこには倫理という規定があって放送されているのだが、SNS社会となった今、映像の扱いに関して見直す時期に来ているかもしれない。