長きにわたり、福島の高校ラグビーを見守る女性から、本を2冊いただいた。著者は元ラグビーマガジン編集長で、現在はフリーの村上晃一氏。女性は「友人の新著、読んでみて」とわざわざ郵送してくれた▼うち1冊は高校ラグビー界の名門・御所実業(奈良)で32年間指導にあたった竹田寛行氏との共著で、「『竹田流』人間力の高め方」(ベースボール・マガジン社)。竹田氏は同校に着任して間もなく、勧誘した教え子が練習中のけがから、帰らぬ人となった。竹田氏は責任を取って辞表を提出する意向を示したという▼だが、その教え子の父から「息子のためにもラグビーをしてください」と懇願され、部が再開。今春、勇退した竹田氏は花園で準優勝4回を誇る名将となった▼全国高校ラグビーの県大会決勝がJヴィレッジスタジアムで行われ、磐城が10年ぶりの花園出場を決めた。故障者続出の中、勇敢に戦い、県頂点に立った。聖地での戦いに期待したい。
片隅抄