詰め込み教育のせいか、抄子を指導した歴史の恩師がことごとく、明治維新以降の授業を『時間が足らない』とばかりに生徒の自主性に任せたせいか、近現代史にめっぽう弱い▼太平洋戦争もたった2世代前の出来事で祖父が南方戦線で死線を彷徨ったにもかかわらず、戊辰の役より知識が浅く恥じる事ばかりだ。朝ドラ「あんぱん」を見てはモデルとなったやなせたかし氏の生き様や時代背景を調べ、新発見を続けている▼『輸送船の墓場』と呼ばれた台湾南部のバシー海峡もそう。台湾の統一を目論む中国が軍事演習の際、軍艦が同海峡を航行する場所として長く認識していたが、太平洋戦争時、民間人を含めて10万人以上が犠牲になったとされる物資輸送の要所だった▼元日本兵の中嶋秀次氏は戦後、仲間を供養するため私財を投じ台湾に寺を建立。同海峡では昨年も戦没者慰霊祭が行われた。忘れ去られた歴史をどう後世に伝えるか、我々に与えられた使命でもある。