札幌冬季五輪が行われたのは中学生のときだった。やはり思い出は70㍍級純ジャンプで笠谷、今野、青地が表彰台を独占したこと▼当時はスキー板をぴたり揃えたスタイルで、今のようなV字飛行だったら飛形点で減点されたことだろう。スタート地点まではエレベーターでなく、長い長い階段を歩いて登っていた▼もう1つ、昔と今とで大きく変わったのはスピードスケートの会場が屋内になったことだ。84年サラエボ五輪男子500㍍。当時は黒岩彰が金メダル確実と言われたが、プレッシャーの中、大雪によって開始時間が5時間も遅れたことが災いし、まさかの10位。落胆する本人をよそに、その後に登場した無印の北沢欣浩が銀メダルを獲得するというドラマを生んだ▼さて、北京冬季五輪。羽生結弦が4回転アクセルに挑み、成功させるかに注目している。既に2つの金メダルを持っている羽生。一時代を築いた選手としての矜持を何より胸に刻んでいるはずだ。