旧ソ連時代の1986年4月26日、東欧の構成国ウクライナにあるチェルノブイリ原発で爆発事故が起きた。放射能の拡散は広範囲に及び、日本国内でも影響が確認されたと記憶している▼当時在京中で、大きなニュースになったが少し落ち着いたころ、銀座を歩いた。目抜き通りにソ連の物産品を売る店があり、何気なく入ってみると男性販売員がいくつかの商品を説明してくれた。その一つにウオッカがあった▼事故後だけに「大丈夫なの」と聞くと、「安全検査は十分しています」。結局、購入したのが赤唐辛子などを漬け込んだ「ペルツォフカ」なる1本。こちらに戻ってからも時々飲んだが最近、酒店で見かけることはない▼かの国の酒食は好むが、総じて旧ソ連当時のイメージは暗く、現在もその根本となる思想を共にする気もない。現存する芸術、文化には価値を見出すものの現体制は旧態依然。貴族社会から革命を経て崩壊するも元に戻ってしまった。