3月11日が近づくと表面は平静を保ちつつも気持ちがざわざわとし、どこか落ち着かない。テレビで流れる津波の映像に動悸が早くなり、船酔いのような症状が表れる。心的外傷後ストレス障害だろうか▼東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故から11年がたつが、つい昨日のように思い出す。避難先の建物で津波に襲われ、小雪舞い散る中で味わった絶望感、メルトダウンを知った時の衝撃は一生忘れることはないだろう▼10年を節目に全国の震災報道が減っていくのはあきらめの気持ちでいるが、「原子力緊急事態宣言」が続く原発事故の関心が薄れていくのは、被災地で暮らす我々にとって受け入れがたい▼欧州最大級の原発が、核を脅しに使う狂気の独裁者の命で攻撃を受けた。電力供給遮断のための制圧だろうが、正気の沙汰とは思えないし唯一の戦争被爆国民、被曝県民として決して許せない。1日も早く事態が好転することを心底から願うばかりだ。
片隅抄