平・子鍬倉神社春の例大祭の行事で小学生の奉納剣道大会が開かれたとき、チーム編成を江戸時代の磐城三藩―磐城平藩・湯長谷藩・泉藩―に分けたときがあった▼それぞれの藩には施政堂(のち佑賢堂)、致道館、汲深館という藩校があって藩士の子弟らが学んでいた。それをヒントに、剣友会をまたいだ合同チームをつくって勝負と交流を楽しんだのだった▼会津若松市には観光と生涯学習の場として今も会津藩校「日新館」がある。往時を思わせる重厚な建物で、設立から約220年たった今も講話が開かれ、弓道や座禅、茶道、絵付けなどを体験できるが、いわきでは剣道場としての汲深館があるくらいだ▼コロナ禍では難しいが、将来、剣道に限らず、歴史を踏まえた旧三藩単位で小学生に交流を兼ねた機会をもっとつくってもいいのでは。市内には勿来地区に窪田藩もあり、飛び地の笠間藩や棚倉藩の所領もあったので市外交流のきっかけにもなるのではと思う。
片隅抄