リトアニア移民の一家に生まれたその少年は幼少のころ、事故で右腕を切断した。数年後、古里から千㌔離れたヤンキー・スタジアムでベーブ・ルースの予告本塁打を目の当たりにし、プロ野球選手になることを決意した▼少年の名はピート・グレイ。第二次世界大戦下、〝片腕の外野手〟としてメジャーでプレー。戦争で障害を抱えた人たちに勇気を与えた。彼が残した言葉が「A Winner Never Quits」▼弊社白鷲旗をかけたいわき地区高校野球選手権大会が6月1日に開幕する。出場校のある監督のシャツ左胸にはこの言葉が刺繍されている。〝勝者は決して諦めない〟。片腕のハンデを抱えながら、グレイは夢を叶え、ヤンキー・スタジアムでのプレーを果たした▼この言葉には続きがある。「and quitters never win(やめる人は決して勝てない)」。いわきの高校球児たちも夢を諦めず、夢を現実にしてほしい。