参院選終盤に起きた安倍元首相への銃撃事件。突然の出来事から、きょうで1週間が経った。テレビで繰り返し流される凶行のシーン。いまさらながら、最初の発砲から2発目までの約3秒間の空白に対処出来なかったことが悔やまれる▼もっとも要人警護にしては、犯人をやすやすと近づけた警備体制のまずさも責められよう。悲運の最期について、与党はもとより野党からも哀悼の言葉とテロに対する憤りの声が発せられた▼にもかかわず、弔いだの同情票による自民の議席増だのとコメントした老ジャーナリスト、かつての大物政治家には気分を害した。人として頭の中では「そうなるであろう」と思っていても、絶対口に出してはいけないことがある▼昭和55年、内閣不信任案可決による解散総選挙のさなかに急逝した大平正芳元首相への追悼が自民大勝につながったことを察してのことか。非人道行為を憎むとともに、明確な国家観を持った故人をしのぶ。