日本映画史上、名作の誉れ高い黒沢明監督の『生きる』。過去に何度か見ているが先日、あらためて市立総合図書館でDVDを借りた。幸いにも同館には、黒沢作品が充実しているため未鑑賞の作品にもふれてみたいところだ▼あらすじだが、名優志村喬扮する余命わずかな市役所の市民課長が地域住民の陳情を受け公園づくりに奔走するもので、ブランコに揺られながら『ゴンドラの唄』を口ずさみ、最期を迎えるシーンは広く知ら
れている▼映画の終盤、土地の利権を巡り反社会の人間が脅しに来る。「てめえ命が惜しくねえのか」。そこに親分役の宮口精二が現れ、さらに凄みをきかすが、死を悟った市民課長に動じる気配はない。この場面が印象に残る▼公僕とは何かと、今さら問うつもりはない。市議会9月定例会で一般質問に立った議員が「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と冒頭述べた。自身の戒めも含めてのことだろう。昨今の出来事の中で、この発言を思い出した。
日本映画史上、名作の誉れ高い黒沢明監督の『生きる』。過去に何度か見ているが先日、あらためて市立総合図書館でDVDを借りた。幸いにも同館には、黒沢作品が充実しているため未鑑賞の作品にもふれてみたいところだ▼あらすじだが、名優志村喬扮する余命わずかな市役所の市民課長が地域住民の陳情を受け公園づくりに奔走するもので、ブランコに揺られながら『ゴンドラの唄』を口ずさみ、最期を迎えるシーンは広く知られている▼映画の終盤、土地の利権を巡り反社会の人間が脅しに来る。「てめえ命が惜しくねえのか」。そこに親分役の宮口精二が現れ、さらに凄みをきかすが、死を悟った市民課長に動じる気配はない。この場面が印象に残る▼公僕とは何かと、今さら問うつもりはない。市議会9月定例会で一般質問に立った議員が「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と冒頭述べた。自身の戒めも含めてのことだろう。昨今の出来事の中で、この発言を思い出した。