市勿来関文学歴史館で開催中のスポット展示「白木英尾」展を見に行った▼白木は赤井生まれの歌人で、五七五七七にとらわれない自由律短歌を作った。会社勤めの傍らいわき市短歌連盟の創設にかかわり、県歌人会会長などを務めたほか市内で短歌祭を開き、サークルで指導するなど文化の醸成に努めた▼総合的な「市立文学館」がないいわきでは草野心平記念文学館と勿来関文歴がそれぞれ独自に展示を行っている。前者が心平を軸に吉野せいや猪狩満直、心平兄弟らを掘り下げて紹介しているのに対し、後者はそれまで埋もれていた人たちを掘り起こすことに力を注いでいるのが特徴だ▼これまでも、若くして世を去った女流歌人諸根慶子や田部君子はじめ、こんな人がいたのかと新発見にわくわくしながら見入った展示が多かった。実は白木の展示物の大半は心平文学館の所蔵品だ。総合文学館があれば、そこでもっと深く・広くいわきの文学に親しめるのにと思う。