「まるで映画のワンシーンのようだった」と語った遠来のランナーの言葉が忘れられない▼第1回いわきサンシャインマラソンは2010年のバレンタインデーに開催された。前日に雪が降り、関係者たちは身を切るような早朝の寒さの中、コースのところどころに張った氷を割るなど、スタート直前まで整備に当たった▼市内初の大規模なシティーマラソン。取材する側も戸惑いながらコース各所に記者を配置し、ランナーだけでなく受け入れる側の市民の歓迎ぶりを紙面に載せた。冒頭のセリフは、最初の折り返し地点となる江名港でのことだ。港をまるごと色とりどりの大漁旗で飾り、大勢の住民が拍手と大歓声で疲れの見え始めたランナーを励ました▼翌年、コースの後半に当たる沿岸部に大津波が押し寄せるのだが、大会は年々復興するいわきの姿を見てもらうシンボルとして今に続いている。どうか明日、雨が降りませんように、風が穏やかでありますように…。