20年以上も前だが、仕事の一つにお茶出しという暗黙の雑務があった。取材のイロハの前に諸先輩のカップを覚えるのが先で、入社当時は女性が担っていたが、抄子の代から一律新人の雑務に。ただ封建的な慣習は納得がいかなかった▼ほどなく施行された男女共同参画社会基本法で弊社の〝謎ルール〟も撤廃。ようやく性差意識を改める一歩が刻まれたが、変わらず育休を取る女性は少なく「寿退社」がもてはやされた。「イクメン」も今や死語だ▼近年はフェムテック、メンテックの流れが拡大し、本市では上場企業の女性有志で作る「HANAプロジェクト」が高い評価を受けるなど、性差による健康課題を理解した上で育児・仕事に取り組むことが当たり前になった▼その一方、深刻な人手不足に悩む中小企業では、育休が課題となっている。いつ誰が取得しても業務が回るよう社内でフォローし合える体制や環境を作り、意識を改革せねばならない。が、壁は高い。