かつて陸軍に徴兵され、中国大陸の戦線に赴いたことのある田中角栄元首相。古参兵の陰湿ないじめに耐えながらも、持ち前の能力を発揮を一目置かれるようになった▼当時を回想し、「戦争では、1人も殺すことがなかった」ことが唯一の誇りという。もっとも、戦時での発言ならば、面相が変わるほど殴打されていたかもしれない。戦後、政界入りし位人臣を極めたあとでも、「戦争体験がないものが日本の政治を行っては…」と危ぐしたとも▼さて衆院議員を10期務め、田中元首相と同様、保守本流の系譜に身を置き、元自民党幹事長などの要職を歴任した古賀誠さんが14日、市文化センターで講演を行う。父親を先の大戦で失い、母子ともに辛酸をなめた体験から護憲の立場で発言する▼主権国家として国防は不可欠であり、独裁国家のミサイル発射など、わが国を取り巻く情勢は緊張の度を増している。拝聴した上で戦争の愚かさ、平和の大切を考えたい。