音楽家坂本龍一さんの父親一亀さんは有能な出版社の編集者だった。龍一さんが亡くなったときに一亀さんのエピソードが語られ、龍一さん生前に放映されたNHK『ファミリーヒストリー』でも紹介されている▼三島由紀夫をはじめ丸谷才一、小田実、水上勉、高橋和巳ら一亀さんに発掘され、原稿の書き直しなど厳しく指導・育成されて一流になった作家は枚挙にいとまない▼新聞記者のイメージとして、いわゆるサツ回りと言われ事件(社会部)記者やスポーツ面を飾る運動部記者、首相や大臣、議員たちに張り付く政治部記者などが最初に浮かぶだろうが、編集者としての仕事もある▼新聞の紙面は自社の記者が書くだけでなく、さまざまな人の文章で埋められている。文化・家庭面担当記者は読者受けする企画を立てて、しかるべき人に執筆を依頼する。丸投げではなく、時には書き手と話し合って修正させることも。一亀さんのようでありたいが、なかなか難しい。