将棋はたしなむ程度で、まれに指すことはあるが、囲碁は原稿で大会の結果を〝打つ〟のみ。実際に打ったことは1度もない▼囲碁といえば、本国で人気の高い三国志の英傑関羽の逸話を思い出す。毒矢を受けた腕を治療するため、天下の名医華佗の外科手術を受ける際、麻酔もせず平然と囲碁に興じたというエピソードだ。歴史的逸話は事欠かず、現代では〝究極の頭脳戦〟と世界評価も高まっている▼先日のNHK大河ドラマで本能寺の変が描かれたが、そういえば囲碁の逸話があったようなと調べると…あった、変の前夜、信長が観戦していた対局に現れたという「三コウ」伝説。1万局に1回程度しかない珍現象の末の謀殺劇から、長く三コウ=不吉とされてきた。棋譜も含め真偽は不明だが、現役棋士が実際に可能な手順であることを証明した記事を読みロマンを感じた▼ちなみに関羽と対局したのは「白眉最も良し」の馬良。歴史を学ぶと必ず碁の逸話と出合う。
片隅抄