先月下旬、米国ハーバード大の学生が、内田市長と懇談すると紹介を受けて取材した。日本人と韓国人の両親を持つマット・サキヤマさんは、平下神谷にホームステイしながら、日本の文化や時事問題について理解を深めた▼話は原発事故からの復興に。汚染水を浄化した後の処理水に関して、米国では大きな話題になっていない一方、いまだに友人から「福島は安全なのか」と聞かれるという。恐らく現地では、旧ソ連のチョルノービリ原発事故のイメージが強いのだろう。死の街と思われても不思議ではない▼これだけインターネットが発達し、SNSが普及した世の中でも、福島の復興が伝わっていないのかと驚かされた。ネガティブな感情の方が、伝染力が大きいということを改めて強く意識した▼米国は21年、県産品の輸入規制を撤廃した。ぜひ一般の市民に地元の〝おいしさ〟を届けた上で、福島が復興した姿にも理解してもらえる環境づくりが求められる。
片隅抄