いわきアリオスでいま開かれている現代演劇ポスター展「現代演劇に挑んだ能楽師、狂言師、歌舞伎役者たち篇」を見た▼中村吉右衛門や片岡仁左衛門、松本白鴎、中村勘三郎、坂東玉三郎、野村萬斎ら伝統芸能の表現者として一時代を築いた人たちが演じた現代演劇での活躍ぶりに思いをはせた▼それにしても、近ごろのテレビドラマのつまらないこと。昔なら、「何曜日の何時からはテレビの前に座って待っている」というドラマが必ずあった。還暦を過ぎたせいもあるだろうが、どのドラマを見てもつまらない。演じる役者はみんな若くて、どれも同じように見える。ストーリーも現実離れしていて、演技力も評価のしようがない▼吉右衛門さんの『鬼平犯科帳』を見ると花沢徳衛、遠藤太津朗、北林谷栄、織本順吉、山田五十鈴、加藤武、中村嘉葎雄といった重厚な演技力をもった脇役としてドラマを支えていた。今のドラマに味のある役者の出番はないのだろうか。
片隅抄