〝大ちゃん〟の愛称で親しまれた人気大関で、問題児横綱朝青龍の師匠としても知られる朝潮▼輪島、北の湖、千代の富士といったそうそうたる名横綱が君臨した時代に、マンガの主人公にもなったユニークな存在だった。その朝潮を誰かが冗談めかして言った。「あの顔は横綱になれる顔じゃないね」▼大相撲秋場所は11勝4敗という低調な成績で大関貴景勝が優勝したが、新入幕で初優勝を狙った21歳の成長株熱海富士の突進を立ち合いの変化で交わして勝ちを拾った取り口に「勝ちは勝ちだ」「大関らしくない注文相撲」と評価は分かれた▼大相撲をプロスポーツと見るか、精神論まで語られる日本の伝統的な国技と見るかで意見は分かれるのだろうが、過去3場所が3勝、0勝、8勝でも次の九州場所で優勝したら〝2場所連続優勝〟で横綱になるのだろうか。ケガを抱える1人横綱の今、相撲協会としてはぜひ欲しい横綱だが、双羽黒(北尾)の先例を思い出す。