台風13号に伴う記録的豪雨発生から1カ月が経つ。直撃よりも厄介だったのが、線状降水帯による大雨。いわき市内を流れる河川、毛細血管のように走る支流の水位を超え、地域によって浸水など大きな被害をもたらした▼この間、何度か内郷宮町、白水町に足を運んだが爪痕の深さを実感する。床上床下浸水の建物も多く、家財道具を庭先などに移動している家々が目立ち、乾いた泥水が風塵となり、こちらの目も痛くなる▼このうち県内唯一の国宝建造物「白水阿弥陀堂」が1日、拝観を再開した。過日、文化庁調査官の現地視察を取材したが、堂内に流入した水の跡が木造の壁にくっきり残り、美しいハスが咲き乱れた浄土庭園の池も土砂で埋もれ見る影もない▼さて、被災状況を伝える『広報いわき』臨時号が出された。表紙は知事と市長。復興の指揮を取る姿はよいが、阿弥陀堂の写真は1枚もない。本市のシンボルに位置付けるなら、あってもよかったと思う。