「四倉地区にヒグマが出ている」「泉駅前にツキノワグマがいた」。市環境企画課に実際に寄せられた連絡だ。ヒグマは北海道にしか生息しない上、仮に泉駅前にクマがいたならば、それこそ大騒動だろう▼全国各地でクマによる人的被害が相次いでおり、かつて浜通りにはクマは生息しないとされていた中で、目撃例も出ていることから不安はぬぐえない。今秋はクマのエサとなる堅果類が凶作で、秋から冬にかけて食べものを求め、人里に出没する可能性を県も指摘する▼ただ市環境環境課では「現時点ではクマと確定できる情報はない」と強調し、市民には慎重な対応をするよう求めている。荒唐無稽な問い合わせによって、通常の環境行政に支障を来しかねない▼もちろん「クマを目撃した」とする通報を妨げるつもりはない。万が一に備えた心構えも当然必要となる。何事も冷静な判断が大切であることは、あの災禍や、パンデミックで学んだはずだ。
片隅抄