新型コロナの5類移行で人的交流が元に戻った感がある。いわき市でも、新規感染者が確認されていることから、油断できない▼各機関・団体などの総会が盛んである。いくつかの場合、終了後に懇親会が設けられ、出席者同士が親しく語り合う。こちらも今月に入り、取材後グラスを傾ける機会が多々あった。ある席では乾杯の音頭を頼まれ、数日間話す内容を考えた▼その一つに「では、これから5分間、グラス片手に話そうと思います」。実際、その場面に遭遇したことがある。立食の会合で前者の巧みなスピーチに嘆息した出席者だったが、引き継いだ方が乾杯の音頭を長々とやった▼うんざりしたのだろう。あちこちで勝手に飲み出し、うやむやのうちに宴席に入った。この時の空気感がいまだに忘れられない。先の席では、しくじらないように考えた冗談を交えながら、手短に終えた。笑いを取るなら、場の雰囲気を一瞬にとらえるプロの落語家が参考になる。
片隅抄