パリ五輪3日目。柔道女子52kg級、東京五輪の金メダリスト阿部詩選手の勝利を信じて止まなかっただけに、まさかの結末に驚きでぼう然としてしまった。大声で泣き崩れる姿にもらい泣きし、健闘をたたえ、拍手とともに詩コールを続ける観客で涙がさらにあふれた▼平然とした表情で極めて冷静に相手と対峙しているように見えたが、とてつもないプレッシャーと戦っていることは容易に想像できた。前日の疑惑の判定と対象的に、一瞬で勝負が決まる武道の真髄を垣間見た気がし、残念に思う一方、清々しさを感じたのも事実だ▼きょう未明に行われた競泳男子200m自由形。悲願のメダル獲得とはならなかったが、いわき市出身の松元克央選手の堂々とした泳ぎは、世界を志す子どもたちの心に大きなインパクトを与えたはずだ▼次は五輪初勝利を飾ったバドミントン・女子シングルの大堀彩選手、〝なでしこ〟千葉玲海菜選手の出番だ。声を振り絞り応援したい。
片隅抄